<解説>
売れる価格を知って価格設定をしなければ売れない時期です。高値のままで価格調整されていない物件が多く市場にあるのは、売れる価格を知らないからでしょう。
一方買い手にとっても難しい時期です。この時期の適正価格、割安感のある売り物件には、複数の買い注文が即座に入りますので、ゆっくり考えている時間がありません。ということで、高額の売り物件にも目を向けてみますと、値下げしないという強気の売り物件であったりします。バブルが崩壊したという事実を知らないことをうかがわせる売り手が、たくさんいるので、割高の売り物件が多くあるのだと思います。
当時のサイトのページ
割高な売り物件が多くあるハワイ不動産市場 2007年6月
夏のハイシーズンがすぐそばまできていますが、既にハイシーズンが来たかのような強気な高値の売り物件が多く、しかも価格交渉は難しくなっています。
売り手は、価格を下げたがらないのです。
数年前のバブルの高額が頭から離れておらず、今の市場が実感として受け止められないようです。
ごく最近の売買履歴を見ても、何か欠点がある物件であって、普通の物件なら高値でも誰か買ってくれるだろうという幻想がなかなか抜けないのです。
市場にはそのような売れない高値の物件がたくさんあります。
バブル崩壊後は売りたい人が理想どおりに売れずに悩む一方で、バブルのときに売り抜けた投資家は、
「売却する気はなかったけれど、たまたま売りに出したら売れた」
というのん気な売り手もいました。
細かく計算して売りに出しても売れない物件がある一方で、何気なく売り出して、バブルの時期に高額でタイミングよく売れる、その違いは、物件の違いもありますが、希望価格で売りに出して短時間で、その感触をさぐり、市場の反応しそうな価格で再度売りに出すなど、気軽に売りに出しても手間をかけていることにあると思います。
そして、そのコンドミニアムでは、過去、最も高い価格で売り切っています。不動産エージェントも舌を巻くような売り手でした。
そのような状況の中で、ある売り物件の見学に電話をかけると、まず、
「価格交渉はしない(売り価格は下げない)」
と開口一番に言われました。価格を下げるような交渉をするなら、物件を見せても無駄になるだけである、という売り手の思いが伝わってきました。
やはり、この時期の強気な高値の売り物件です。買い手と相談すると、
「物件を見て、よければ売り手の言い値で購入する」
と言うので、買い手に伝えて物件見学ができました。
高値で売却するために改装した完璧な物件でしたが、その改装の趣味が買い手の好みではないという理由で購入は見送りました。
しかし、売り手にとっては、高額の売り値でもいいという買い手には、期待が高かったようで、購入しないという判断に落胆が大きかったようです。
物件見学のハードルを高くしたことによって生じた摩擦だと思います。
言い値で購入してもらいたいという売り手の気持ちはわかりますが、通常の物件見学のプロセスを尊重すべきだと思いました。
SANADAインタ-ナショナル不動産売買
プラスセブン不動産
代表取締役社長 : 真田俊彦